
現代社会では、人間関係や仕事、環境の変化など様々なストレスの要因が存在します。日常生活の中で、何らかのストレスが原因となり、社会生活に支障をきたす程の心身の不調が生じている状態を「適応障害」といいます。適応障害は原因となっているストレスを軽減し、適切な治療を行なう事で回復が可能です。
適応障害とは?
適応障害は、国際的な診療のガイドライン(ICD-10)によると、「ストレスが原因となって引き起こされる情緒面や行動面での症状で、社会生活に支障をきたしている状態」と定義されています。日常生活のなかでの何らかのストレスを経験した場合に、軽度の抑うつ、強い不安や心配などの精神的な症状や身体的な症状がみられます。これらの症状は、要因となるストレスが発生してから1ヶ月以内に生じ易く、その要因が取り除かれると6ヶ月以内で症状が収まる事が多いとされています。
精神的な症状には、気分の落ち込み、焦燥感、不安感、イライラ、集中力の低下、無力感などがあり、身体的な症状には頭痛、不眠、食欲不振、動悸、めまいなどがあります。
以下にあてはまる方は適応障害の可能性があります
以下のような状況にあてはまる方は、適応障害の可能性があるため、お早めに医療機関で御相談される事をお勧めします。
- 学校や職場など新しい環境になり、早く慣れなければいけないと強い焦りの気持ちを感じる。また、時に強い苛立ちを感じる事がある
- ストレスにより学校や職場に行けない、家事が出来ないなど日常生活に支障をきたしている
- 職場や家庭での人間関係やプレッシャーなどのストレスが強く、疲れや倦怠感を感じる
- 様々な事に対して神経質になり、必要以上の不安を感じたり、落ち着く事が出来ない
- どうしようもない無力感を感じ、物事に対する意欲が低下している
- 無断欠勤・欠席、周囲への威圧や暴力など、周囲の人に対して迷惑や負担を欠ける行動を行なってしまう
ストレスの原因が明確で、これらの症状が長引いている場合は、適応障害を疑う必要があります。
適応障害の治療方法
適応障害の治療方法は、原因となるストレスを明らかにし、そのストレスを減少させる事が最も重要です。適応障害はうつ病などと異なり、明確なストレス要因があるため、その要因が消えると症状が改善される事が期待出来ます。完全にストレス要因を取り除く事が出来ない場合は、環境を調節するなどしてストレス要因に対し、適応していく方法を検討します。適応障害の症状への対症療法として、薬物療法による治療を行なう事もあります。
適応障害の治療によるメリット
適応障害の治療には、以下の様なメリットがあります。
適応障害の原因になっているストレス要因が明確になる
適応障害の治療を行い、医師と話すことで、適応障害を引き起こすストレスが明確になります。これにより、どの様にそのストレス要因に対処するべきか方法や手段を検討する事が出来ます。
ストレス要因に対して適応出来る様になる
適応障害を引き起こすストレス要因が明確になると、環境の調整や休養を取るなどして、対処する方法が得られる様になります。
当院の適応障害治療の流れ

当院での適応障害治療は、次の様な流れで実施されます。
1 問診 | 問診で患者様の症状や状況、ストレス要因について詳しく話をお伺いし、適応障害の可能性について判断します。 |
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2 治療方針の決定 | 診断に基づき、治療を通してストレスの解消法や対処法を検討します。薬物療法が必要な場合は、適切な薬を処方します。 |
3 治療 | ストレスの原因となっている環境の調整をお手伝い致します。治療中は問診やカウンセリングにより、患者様の状況や症状の変化などを確認します。 |
4 治療後 | 治療により症状の改善がみられたあとも、再発を防ぐためのフォローアップを行ないます。 |
適応障害は、原因となっているストレスを明確にし、適切な治療を行なう事により、症状の改善が期待出来る病気です。そのためには、適応障害を早期に発見する事が重要です。当院では、患者様お一人一人の環境や状況に応じた治療を提供しています。ストレスを原因とする心身の不調が続いている方は、ぜひお早めに当院に御相談下さい。